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“治未病”と都市政策

漢方と都市政策のお話です。
人間の疾病を治療する漢方理論の中に、「治未病」という言葉があります。
聞きなれない言葉“治未病”という文言ですが、漢方では基本中の基本とも言われる文言です。簡単に言えば、ずっと健康を維持している人は治未病の精神にのっとり“己がいまだ病まざるうちに、己の病を治している”ということ。
健康で魅力的な人は、病気の兆候や体調のわずかな変化をすばやく読み取って、それが大きな病となる前に必ず火を消し(対策を採って)健全な体を維持してゆく。
これは地域や都市の行政にあてはめてもしかりで、病が表面に出てきてしまってはすでに遅いということであり、都市における災害や天災など、また財政の逼迫などもその病というものに入ってくると思いますが、あらかじめそれを察し事前の対応策を考えておくのが地域のこれからの行政にとって最も必要で、かつ根本となるものであるといえます。

東京都知事の交代が最近あり猪瀬氏に決まりましたが、彼は行政の方向を、今日発生した問題をいかに早く処理をするかという方針を基本に都政に取り組むと話しています。
そのことは実に印象的であり、東京都のような巨大な行政組織ではそれも重要な必須条件ではないかと思われるのであります。
まあ通常の役所仕事といえば、「何がしかの案件については承ってありますので今後は上司また関連機関との調整や決裁を仰ぎ、その後に検討しましょう」とか何とかで進行するのが通常で、時間のかかることが当たり前になっており、そんな観点から見ると猪瀬さんの言っていることはすごく市民目線になっているように感じてしまう。役人(事務屋)目線ではないのです。
欲を言えば、治未病という視点をいれて、「予測」をする行政ということを大事にしていただければと思うのです。大きな意味で、単純にとればそれは将来のビジョンとか、都市の未来モデルとか言うことにつながってくると思いますが、それが具体的にはっきりしていればいるほど、いい面でも悪い面でも予測ができやすくなってくる。
市政で、ビジョンがあいまいな都市ほど(他人に丸投げしてしまうようなビジョンもですが)わけのわからない問題が出てきやすいともいえます。

上越市において具体的な話といえば、新幹線の開業が一番の話題とされるのですが、それでは上越市は新幹線が入っていったい何をしようとしているのか現状ではさっぱりわからないのです。
具体的で最も有効なビジョンが全く無いといってもいいでしょう。
今あるのは、新幹線が入ったらこんなになりますよ、便利になりますよ、人の往復が多くなりますよ。なんていう、誰が見てわかるような役人言葉だけが上越市に漂っているのです。もちろん誰が考えても、また別な都市に住むまったくの他人(上越市民ではない人)が考えてもわかるような、たとえば高田の商店街を盛んにしよう、高田城を利用しよう(お花見?)、金谷さんのスキー発祥地を全国に広め(レルヒ祭)ようなんていう、ありきたりのイベントはありますが、これでは規模といい、スタンスといい、あまりにも普通であり、単純に普通の結果しか生まれてこないでしょう。
高田開府400年なんてのもやるようですが、そりゃやらないよりいい。
ただし、高田の花見はJTBの今年の春の旅行の花見特集にもまったく載っていない、高田城は全国100名城の中にさえも入っていないのです。
基本的な観光の広報面でも決定的に全国に遅れている。
ですからいくらお金をかけても継続的な観光収入とはならないんです。(一生懸命イベントに協力している人たちには申し分けないのですが・・・)

それと、自分たちの利益しか考えていない。
お客様は、どのくらい楽しめたかどうかで、リピーターになるかが決まってくるのであり、組織でたとえば高田の商店街が最終日にもうかったもうかったの成功パーティーをやっても、きてくれたお客様には何も伝わってこないのです。
そんなお金があったら、次回の開催日の割引券でも郵送したほうが宣伝効果があがります。

新幹線の駅にもどしますが、当然駅の新しいのができて、市民にとってはなんとなくお祝いムードたっぷりなんですが、結果は以下の一点に絞られてきます。
それは上越の人口が駅から吸い取られてしまうのか、それとも上越の人口が増えてきて都市が繁栄してゆくのか、ということの一点です。
そして、上越市としては、ぜひとも目指したい後者の方向に結果を出したいのですが、上越には、通年にわたって大きな集客ができる観光施設や、イベント、地域、文化、などが、まったくない(あるのに気付いていない)のであります。

高田公園の桜があるじゃないか、なんていわないでください。ある一定の春の時期しか稼がないものはだめなんですよ。
先に例を出したスキー発祥の地高田が(レルヒ祭)あるよ、なんていったって、冬のシーズンだけってのはだめなんですよ。
おまけに冬季は高田城の観光施設は閉鎖してるという始末。。。
通年観光の強力な武器がない限り、新幹線は必ずや給水ポンプのように、上越から人と富を奪ってゆくことになるでしょう。
今はその通年観光ができる、本格的に通年イベントができて、インパクトが強く全国的にも知名度が絶大な施設に力を注ぐべきだと考えているのです。
手つかずのものがちゃんと上越市には存在していますよ。

この文の表題にある「治未病」という言葉は、漢方の学習書として有名な金貴要略(キンキヨウリャク)という医学書に出てくる言葉ですが、本題に戻りもう少しこの言葉を解説して見たいと思います、意外にも都市政策にも通用するような話でもあります、治未病という言葉は3つのポイントに分けて解説されています。

原文が出てきますが、難しい構文など飛ばして読み進めていただいてもよろしいかとおもいます。

キンキヨウリャクの最初では「上工は、未病を治すとは何ぞや」とあります。
名医といわれる人は未病を治すといっているが、それはいったい何なのだ、と質問しているのです。

Point1:原文:
すなわち「師の曰く、夫れ未病を治するものは肝の病を見て、肝の脾に伝うるを知り、当にまず脾を実すべし、四季に脾旺んなれば邪を受けず、即ちこれを補うことなかれ。中工は相伝うを悟らず、肝の病をみて、脾を実することを解せず、惟肝を治するなり。云々・・・。」

これは漢方の五行論という中で木剋土というものを引用し解説したものですが、これをわかりやすく解説すると、肝とは現代医学でいうところの肝臓と考えられ(正確には働きや概念でちょっとちがっているのです)、肝臓が悪いからといって、もっぱら肝臓(肝機能)のみを治療する医者は→「やぶ医者である」、といっているのです。

肝臓に異常が出てくれば、それと関係の深い脾(ヒ)(消化器)という臓腑にも影響が及ぶのは必須だから、調子の悪い肝臓は承知しておき、影響が最も出やすい脾という臓腑をまず保護し十分に力を蓄えなさい、脾という臓腑のつかさどる消化機能や統血機能を十分に修繕してから後に肝臓の治療に入りなさい、そうすればおのずと全身の抵抗力がついてひとつの臓腑の邪が全身のすべてに及ぶところなく、病気がより悪くなってしまうことを防ぐことができるでしょう。特徴のあるひとつの臓腑(行政の現象)のみにとらわれることなく関連する先をもっと大事にしなさいということです。

目が悪くなったとして、普通は眼科にかかり目を治療をするわけですが、五行論では目と関係の深い臓腑は、肝臓でありまた筋肉とも関連している、すなわち筋肉が硬直して夜間にこむら返りを起こしやすくなったり、酒に最近弱くなったなあなどと感じて肝機能を気にしだす場合などには、必ず目に影響が出て、目の奥が痛い、疲れ目になりやすいなどという症状を出してくると解説しているのです。(すこし漢方的な解説に力がはいりくどくなってしまいましたが)

この考え方は、地域行政でも同じようなことがいえるのではないでしょうか、今出ている悪い状況だけを改善しても、(表面の現象のみ修正しても)だめであり、その影響先や根本の原因を真の標的とすべきと解いています。

Point2:原文:
「未病を治す」ということは、さらに、前述のように単純で簡単なものではないとして、以下のようにも言っています。
すなわち師のいわく、
「聖人は己に病を治せずして、未だ病まざるを治し、己に乱るるを治せずして、未だ乱れざるを治す」
直訳すると、名医は病の部分をなおさないで、未だに病気でないものを治す、まるで病むものを放置する、と解釈しがちですがそうではなく、未だやまざるうちに治療や予防をするから「病人というものを治す必要がない」ということを言っています。

民衆を養い、民が楽しく裕福な生活を営むことができれば内乱は起きない。国力を養い兵力を貯え、外的に侮られないようにすれば、おのずと外から侵略されることはない。
したがって戦って(戦争をして)勝つ必要はないのである。戦をするということは最低のことなのであると解説しています。

癌などになり、抗がん剤で生きるか死ぬかの戦をやらかすのは、もってのほかだととれますが(小生の商売では頭の痛いところです。余談ですが)、確かに現在のがん治療ではそんな面がたぶんにあるのです、がん治療とはある意味では“戦”なのです。治未病の概念では、病気になってそれからこれを治療したり、外国に攻められて、あわてて軍隊を養成するのでは「遅い」と解いています。

最近は尖閣諸島の件で、レーザーをあてた当ててないなどと騒いでいますが、その前に(終戦処理から沖縄返還の時期あたりに)尖閣をきちんと領土にしておけばまったく問題が発生しなかったわけで、当時の自民党や外務省、この際は官僚を含めないといけませんが、その責任は重いものがあります。治未病を話して聞かせたくなりますね。といってもそんな自民党が政権をとってるのですから、自分でまいた種、がんばってもらうしかありません。

いまは、攻められてあわてている、という状況にも見えます。

上越市の政策にとっても、国力を養い兵力を貯え、外的に侮られないようにすれば、おのずと外から侵略されることはない。という考え方は実に参考になるとおもいます。
以前ほかにも書きましたが、都市の発展は人口の増減でわかるとも書いたことがあります、今は上越市は人口がしだいに減少しています。そのことの根本はなんなのでしょうか、治未病にある国力、兵力とは、潤沢な経済力をさすのであり、やはり経済力がすべての根本であると思います。市制の長が目指すものそれは、治世ではなく、いまのところは、上越の産業をのばすことが、そして地方の首長は、最高のセールスマンにならなくてはいけないのです。
宮崎県の首長のようでなりふり構わずでも今はよいのではないでしょうか、逆を言えば、市制で経済を縮小したり、交付金を減らすことで。何とか対面を保とうとしている首長でしたらそれは、ダメだ(藪医者だ)ということになります。
上越に金がどんどん入ってくる、そんな仕組みを作ること、そのことはおのずと治未病のひとつの意味するところと考えています。
(春日山城、直江津港、こんな大きな手付かずの財産に気付く必要があるのではないでしょうか)

Point2:原文:
さて最後の三つ目ですが。師の曰く、
「夫れ病己に成りて後にこれを薬し、乱己に成りて後に之を治むるは譬(タト)えば猶(ナオ)、
渇して井を穿(ウガ)ち、闘って兵を鋳(イ)(キタウ?)るが如きは亦(マタ)晩(オソ)からずや」

難しい読み方がでてきますので、これの読み方でよいかは、定かではありませんが、だろうという感じで読んでみました、(間違いは失礼)読んで見てのとおりで、病気になってから薬を飲む、国が乱れてしまってからこれを統治する、こんなのはのどが渇いてから井戸を掘ってみたり、戦争をしながら兵を鍛えるようなもので、すべてが遅きに等しいのである。人の上に立ち人を導くもののすべきことではないということです。

まさに、未病を治すとは、医療ばかりではなく、治世にも共通するところがあると考えます。先を見通す、それは現実には困難なこともありましょうが、過去の経験から予測できることは簡単にできます、特に社会的なインフラにおいては積極的な予防策、最近はやりの想定外などへの対策も必要になるはずです、地方の都市においては、さらに行政エネルギーの元となる経済面、確実に収入が増える、上越市がもうかる政策を首長なり行政の幹部がまず第一にとってゆかなければならない、とよみとれるのではないでしょうか。

信長の楽市楽座、謙信の青曾や金鉱脈の発見、など戦国のなだたる武将は、単に戦いが強かったのではありません資金力確保に相当の労力を使っていました、ここに首長の良否が現れてくるとおもいます。

追加
治未病からみた、日本の健康保険制度の最大の欠点

商売柄、保険制度には大変お世話になっていますが、日本の保険制度は病気になっているものを治療し、予防はしません。
老人が増えて少子時代となり、がんや成人病に対しての治療費は青天井となっています。病気予防という概念が保険制度に反映されてこなければ永久に赤字の制度が続くこととなるでしょう。
今は、地球汚染や、中国などからの環境破壊、が進んでいるにもかかわらず、治未病でいうところの、病んでいるそのものを保障している制度になっています。ここが一番の大きな欠点ではないでしょうか。
幸いなことに、上越市では疾病予防という観点から取り組んだ事績が多いとのこと、詳しくは忘れてしまいましたが、疾病の予防に多方面から挑戦したことにより、発病者を減少させ、医療保険の出費を少なくできたということを、信金だと思いますが聞いたことがあります。
このことは、日本の保険制度で最大の欠点とされる、予防という部分を補うものと解釈できます。上越市はこの面では国より一歩進んでいるんでしょうか。
そのことは、大いに誇るべきですし、伸ばしてゆく方向かと考えます。

平成25年2月吉日

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